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la souvenir

Posted on 2025.11.26

万国津梁の鐘

今から16年以上も前、沖縄デザイン戦略構築促進事業たるものが
沖縄県によって実施された。
県内製造業における「デザイン」の戦略的な活用を促進するため、
3年をかけて実態調査、創作、試作、デモンストレーション、モデル商品開発、
プロモーションと情報発信、ネットワーク構築など多岐にわたる取組が実施された。
基本的なコンセプト「新おきなわスタイル」を掲げ、
ディレクター、コーディネーター、デザイナー、生産者が
一つの方向を持ち、デザイン性と技術の向上を図る時間を共にした。
筆者はなぜか事業のディレクターを担うことになった。

沖縄の色材
沖縄の図案
沖縄の染料、繊維、木と土
伝えること、考えること、活かすこと

地域活性化プロジェクトに関わるクラフトデザイナーが
チーフコーディネーターとして、県外で活躍中のプロダクトデザイナーと
当時の日経デザイン編集長がアドバイザーとして参画し、
オロオロするディレクターを刺激的にサポートしてくれた。
作り手として加わった若く元気な仲間たちは、皆立派に成長し、
今なお沖縄スタイル発信のリーダーとしてバリバリ活躍している。

県が推進した次なる戦略事業に於いてWEBサイト
『FLAGSHIP OKINAWA』が誕生した。
デザイン構築事業終了後も事業推進のディレクターとして、
多くの作家、デザイナー、生産者と消費者の皆さまを結ぶ役割を担い、
同名のリアルショップ運営を独自に努めてきた。
店名に込められた「沖縄のいいもの」を魅せ、伝え、届ける喜びは
海外から届く逸品を伝えることと同様に熱を帯び、誇りを感じてきた。


だからこそ、沖縄のアイデンティティーはより価値を育み、
物創りに対する意識も目を見張るほど成長している。
しかしながら商環境や流通の変化は著しく、需要と供給のアンバランスが生じ
店舗としての品揃えや、役割を再考する時期を迎えている。
現状から少しずつ離れ、次なる展開を探る。

心寂しく軌道修正を図る中、
波が立つように、次なるアプローチが耳に届く。
沖縄県の商工、農林水産、観光分野が一体となって
おきなわブランド戦略推進会議を立ち上げた。
戦略としての「デザイン」はものづくり生産に限らず
経営のデザイン、事業のデザイン、組織のデザインと「デザイン」をセグメント化、
おきなわブランド戦略にそった戦術を実践する
思考とスキルを学ぶ機会を創出するという。

成功例として紹介された県内の事業所、生産者。
コツコツと自社や自身を見つめ
コツコツと小さな扉、世界の扉をノックしてきた努力。
自分自身への信頼を築く情熱が「ブランド」という冠を得る唯一の道。
そんなことを教えてくれる魅力いっぱいの人たち。

オキナワの人
オキナワの時間
オキナワの地霊、精霊
感じること、生かすこと、繋ぐこと

万国津梁、鐘の音が響く
美しい年の瀬となりますように。