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Posted on 2022.04.10

春咲くキッシュ / BLUE ZONE LIFE LESSON

BLUE ZONE LIFE LESSON
健やかに、生きがいを持ち長寿を喜び讃える人々が暮らす世界5つのゾーン、“BLUE ZONE”。
このページでは、“BLUE ZONE”のスピリッツを彷彿とさせる
県内外、国内外のFOODに関わるステキな出会いを綴ります。

QUICHE DU CHRYSANTHÈME LE PRINTEMPS
(キシュ ドゥ クリザンテム ル プランタン)
春咲くキッシュ
 
寒い冬を乗り越えほっとすると、あたり一面は若葉や花が咲き、心を緩くしてくれます。草花を春の訪れとして目で楽しむだけでなく、薬膳としても取り入れ、日本では菜の花、たらの芽、沖縄ではフーチバー、ニガナなどを食してきました。

春の山野草は、冬に溜まった老廃物を体からだし、肝臓の濾過活動を高める苦味成分「植物性アルカロイド」を多くふくみます。春には冷え、むくみ、肩こり、肌荒れなど体の不調が起こりやすくなるため昔から民間療法として、苦味がある草花を食してデトックスしてきました。ヨーロッパも同じく、タンポポの葉、アザミの葉、エンダイブ、プンタレッラ、ルッコラなどをサラダ、炒め物、パイなどにして春を祝います。

ご紹介するキッシュは、タンポポの葉を連想させてくれる春菊を活用。炒めることによって香りと苦味も増し、大人味のアクセントとなります。そして春菊はイライラに効くといわれているため、春の祝い事でパタパタしがちなお母様方には適した魔法野菜かもしれません。ヨーロッパの田舎のおばあちゃんから教わった料理の一つが、山野草をつかったパテストリー。ヨーロッパも沖縄も女達の元気の秘訣は苦い葉野菜を多く摂取していることかと思います。

キッシュに欠かせないもう一つの材料は卵。特に四月はイースター(キリストの復活祭)の時期でもあり、再生の象徴である卵は欠かせません。より新鮮な卵を使うことによって味もいちだんと濃厚になり、キッシュの食感にハリがでます。
 
沖縄の太陽光線をたっぷり浴びて微生物を活用し、薬剤や消毒に頼らない「平飼い」の鶏から生まれた卵。臭みがなく、生でも安心して食べられる健康で美味しい卵。
EM平飼いたまご 6個入り ¥270
みやぎ農園/沖縄(ROGER'S FOOD MARKETでどうぞ)

最後の名役はチーズ。春のハーブや花を食べている牛やヤギのミルクから作るフレッシュチーズは、春の野山を吹く風が口いっぱいに広がります。日本ではなかなか手に入らない地元のミルクからできるチーズですが、ラッキーなことに、沖縄では沖縄南城市の「親泊牧場」の生乳を使用、世界コンクールで受賞したチーズアニスタのチーズを味わうことができます。味に濃淡があり、島の季節を味わえます。
 
ギリシャで学んだ伝統的な製法を用い、沖縄県産山羊ミルクのみを使用したフレッシュチーズ。
LITTLE ISLAND TYRI ギリシャ風チーズ 山羊 100g ¥864
CHEESEANISTA/沖縄(ROGER'S FOOD MARKETでもどうぞ)

日頃たべているキッシュは自然の循環を感じることは少ないかもしれませんが、沖縄の食材を使えば、南国且つ長寿県である『命ぐすい』をマリアージュした特有なキッシュもつくれます。スーチカと二ガナのキッシュも想像するだけで気持ちが弾みます。日常の食材を活用しながら型を破ると、ちょっと親しみある創作料理ができますね。キッシュと共に短く、穏やかな沖縄のうりずんを楽しみましょう。
 
 
【作り方】
1. カップケーキシートにパイ生地を入れ、なじませる。
2. 春菊がしんなりするまで、一口サイズのベーコンとともに炒める。
3. 牛乳、生クリーム、卵、粉チーズを入れかきよくかき混ぜる。
4. パイ生地の中に、2.を敷き詰め、上から3.を流し入れ最後に一口サイズのギリシャチーズをのせる。
5.オーブンに入れ、200℃で20分から30分焼く。
6. 狐色に焼き色がついたらオーブンから出し、30分ほど常温で熱を冷ます。
 

プレート ¥4,180
CÔTÉ TABLE/フランス イングリッシュナイフ ¥2,200
テーブルフォーク ¥1,540 LAGUIOLE/フランス
キッチンタオル ¥1,650 HARMONY/フランス

 

ガストロノミスト(農食文化・環境社会学研究家)
伊江 玲美
1976年東京生まれ、ルーツは沖縄、幼少期をアメリカで過ごす。2005年にスタンフォード大学にて持続可能な発展途上地域開発と起業論を研究。帰国後、一次産業と食文化を統合したコンサルティング会社を起業。2012年にブータン王国のGNH Center(国民幸福度を考えるセンター)の日本大使に任命される。2015年、イタリア食科学大学にて修士号を取得し、Slow Food 国際本部アジア局日本ディレクターに就任。活動は日本の食文化、食の叡智の発信、農業・漁業継承の促進、また恩納村を中心にフードロス食材を活用した無料弁当を子供達へ提供。