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Posted on 2021.12.03

優しさを運ぶスパイス・マーマレード / BLUE ZONE LIFE LESSON

BLUE ZONE LIFE LESSON
健やかに、生きがいを持ち長寿を喜び讃える人々が暮らす世界5つのゾーン、“BLUE ZONE”。
このページでは、“BLUE ZONE”のスピリッツを彷彿とさせる
県内外、国内外のFOODに関わるステキな出会いを綴ります。

SPICED MARMALADE (スパイス・マーマレード)
優しさを運ぶスパイス・マーマレード

 
落葉が終わると、街はウィンターホリデーの飾りが満ちる。寂しげになった、真裸の木々には灯が煌々とし年末を祝う風情になる。その時期だけケーキ、クッキー、ホットワインなどに活用されるスパイスのシナモン、アニス、ナツメグ、カルダモン、クローブ、オールスパイスの香りは、欧米の多くの町を優しく包み込む。安堵感あるこの香りは幼き私の心を魅惑し、年末は皆がお互いに優しさを運ぶ努力をしているからか、このスパイスの香りは母の胸の香りの様に心休ませてくれた。

私が育ったNew Jerseyの田舎町は林檎園が多く、冬になると温かいアップルサイダーにスパイスを入れて飲む習慣があった。昔ながらの林檎ジュースは、茶色で濁っているが、芳醇な香りがありスパイスを入れて温めると、アロマセラピーを受けているかのように硬くなった心と体が解け出す。この「ホッと」する安堵感は寒い冬を乗り越えるビタミンであった。今では多くの人々が楽しむことができるこれらのスパイスは、中世に十字軍がオリエントから英国にもたらし、時と共に欧米にも根付いた。
 
熊のパディントンが大好物として知られ、英国の国民食であるマーマレードも遠い国から届いた。貴族の菓子を真似てマーマレードを作ったのは、スコットランドのダンディーポートの女衆。ダンディーポートは、スペインのバレンシアから貴族の富の象徴として供覧させたオレンジを大量に輸入していた。しかし、大切に輸送されたオレンジの一部は腐敗する。それを船乗りは船を港に上げるための滑り材として使用した。
女衆は潰れたオレンジを集め、マーマレードにしたとスコットランドは伝える。世界で初めてマーマレードを商品化したのもダンディーポートのJames Keiller & Son。キャンディー店を営んでいた母のレシピを商品にし英国中を今でも虜にさせている。

今回ご紹介するスパイス・マーマレードは、英国人にとって冬をこすためには欠かせない、スパイスをブレンドした年に一回だけ食卓にあがる特別なもの。1800年代のレシピ故、飴のようにネバネバだが万能調味料として年中使える。肉などに添えるソースにアレンジしたり、お湯で溶かして飲むと体が温まる薬効茶に変身、パンケーキと一緒に食べるとワンランクアップさせてくれる。

使用しているスパイスは、体の冷えを取り除き、血の巡りをよくし、消化を助け、免疫効果もある。もしかしたら、古の人々はこの薬効効果を年末に取り入れ健康を維持するため、冬至にこのようなものを意識して食していたのかもしれません。日本でもお正月に同じようなスパイスが入った御屠蘇をいただくのも同様。古来の沖縄に、薬効スパイスを取り入れる習慣はあったのでしょうか? 知りたいですね。

マーマレード
材料(25gの瓶を5つ分)
タンカン 10個、シークヮーサー6個、
レモン1個 (タンカンやシークヮーサーを他の柑橘類で代用しても良い)
シナモンパウダー20g、八角1個、クローブ5粒、カルダモンシード5個、
きび糖1200g、黒糖150g、ペクチン10g
道具:炊飯器、鍋、出汁袋、ヘラ、ガラス瓶
(作り方)
1. 柑橘を皮のまま、洗剤で洗い、皮を剥き、千切りにする。
2. 柑橘を絞り、ジュースを1260mLになるまで絞る。
3. 炊飯器にジュース、出汁袋に入れたスパイスを入れ、早炊で炊く。
4. 3.に糖類を入れ10分ほど106℃になるまで煮詰め、気泡が細かい時にペクチンを入れ、10分ほどかき混ぜる。
5. 飴状になると大きな気泡が出るので、それを目安に弱火にし、3分程度で火を消す。
6. 5.をさまし、殺菌した瓶に入れて冷蔵庫で保管。
 
クリスマス・マーマレード・ハムステーキ
材料 (1人分)
ボンレスハム 3cm幅2枚、柑橘ジュース50cc 、マーマレード適量、
オリーブオイル適量、鷹の爪 1本
(作り方)
1. フライパンにオリーブオイルをひき、焼き目がつくぐらいに両面を焼く。
2. 焼き目がつき始めたら、別の鍋にマーマレード、柑橘ジュース、鷹の爪を入れ、絡めながら炒める。
3. 皿にハムを盛り付け、ソースをかけ、お好みでマーマレードを新たに添える。
飾りに葉野菜などを添えると華やかになる。
 

使用しているロースハムはROGER'S FOOD MARKET内のNICHIBUTAさんより。
沖縄県国頭産豚のロース肉を贅沢に使用。
通常のロースハムよりも柔らかい食感と優しい味わいが特徴。
命豚 ホワイトロースハム
100g当り ¥378
NUCHIBUTA/沖縄

ソース、カレーなどには欠かせない刺激的な香り。
少量であればバニラなどの香りを補強するスパイスとして焼菓子などにも使える。
オーガニック クローブ(インドネシア産)
25g ¥538
VOX SPICE

豚肉料理に少量加えるとほんのり甘い香味の広がる。
中華料理でなじみ深い魅力的な東洋のスパイス。
オーガニック スターアニス(ベトナム産)
15g ¥538
VOX SPICE
オンラインショップでもどうぞ

ショウガ科の種子を乾燥させたスパイスで、
樟脳に似た特有の芳香を持ち、
カレー粉の原料に欠かせないスパイスの1つ。
オーガニック カルダモンシード(グアテマラ産)
30g ¥538
VOX SPICE

 

ガストロノミスト(農食文化・環境社会学研究家)
伊江 玲美
1976年東京生まれ、ルーツは沖縄、幼少期をアメリカで過ごす。2005年にスタンフォード大学にて持続可能な発展途上地域開発と起業論を研究。帰国後、一次産業と食文化を統合したコンサルティング会社を起業。2012年にブータン王国のGNH Center(国民幸福度を考えるセンター)の日本大使に任命される。2015年、イタリア食科学大学にて修士号を取得し、Slow Food 国際本部アジア局日本ディレクターに就任。活動は日本の食文化、食の叡智の発信、農業・漁業継承の促進、また恩納村を中心にフードロス食材を活用した無料弁当を子供達へ提供。