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Posted on 2021.09.02

モロッコ、彼女たちの朝

「rg」、9月号の特集はモロッコ。
"MOROCCAN BLOOMING"と題し、南城市知念にある『リヤドランプ』のご協力の元ロケ撮影を行い
「美人になるモロッコ」なアイテムをご紹介しています。
3階シネマプラザハウスでは特集にあわせ、モロッコからの映画、
「モロッコ、彼女たちの朝」を9月3日(金)から16日(木)の期間上映されます。
今回特別にスターシアターズのチーフエキスパート 榮さんよりこの映画について語っていただきました。
ぜひご一読いただければと思います。
 

第92回 アカデミー賞 モロッコ代表作品 「モロッコ、彼女たちの朝」
女性はしなやかで、したたかに強く生きる。
心のひだに沁みる物語。

 
早起きした朝。散歩の途中で風に乗って漂ってくる甘い香りに、お腹の虫を鳴かせてしまったことはないだろうか。それはほぼほぼ、もっと早起きのパン屋さんの焼くパンの香り。
地中海に面した北アフリカの国モロッコ。アフリカやアラブ、欧州など様々な文化が混ざりあい独自の文化を持つに至った魅惑の国。
そのモロッコ、カサブランカのちいさなパン屋を舞台にした映画が「モロッコ、彼女たちの朝」。
夫を亡くし娘とつつましく暮らすアブラの元に迷い込んだ未婚の妊婦サミア。モロッコは未だ家父長制の根強い社会で、未婚の妊婦は社会のタブーであり、手を差し伸べることさえも憚られる。だが自らもシングルマザーであるアブラは路上で寝るしかないサミアを放っておくことができなかった。優しいが掴みどころのないアブラの元でサミアも得意なパン作りで手伝い次第に溶け込んでいくのだが・・・。
3人の織り成す日々の小さな出来事は、次第に母子の乾いた生活に潤いと色を添えていくことになる。髪振り乱して子育てと生活の為だけの労働に汗するアブラにかつての自分が重なり胸が熱くなる。それでも、ふと見せるアブラの笑顔や、化粧気のない素顔に一本のアイラインをひいた時の少女のような初々しさにこころ救われるのだ。
 
厳しい社会環境の影響で、自由の少ない女性たちへの監督のまなざしはどこまでも優しくたおやか。フェルメールの絵画を思わせる光の効用で彼女たちを賞賛するかのように手仕事へのクローズアップが続く。貧しい中でも思い思いのスカーフ使いでおしゃれを楽しみ、閉ざされた社会だからこそ女性たちが連帯を深めていく様は監督の女性たちへのエールなのだろう。人生は選択の連続。分かれ道のどちらかを選択しながらつまずいたり、後悔したり。生きるとはそういうことなのだと、彼女たちの勇敢さとしなやかな強さに元気をもらう。
 

めったに出会うことの叶わないモロッコ発の映画だが、映画館を出て、ロージャースフードマーケットを散策すれば、これまた珍しいモロッコの文化や食や風景に出くわす。
おりしも「rg」の9月のテーマはモロッコ。
こんな偶然、ありそうでないから朝でなくとも出会いは楽しい。
 
スターシアターズ チーフエキスパート 榮 慶子
 

上映時間や詳細についてはシネマプラザハウス1954公式サイトでご確認ください。
沖縄県緊急事態宣言に伴い、9月12日までの土曜・日曜日、シネマプラザハウス1954は休業いたしております。
お客様にはご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
 
画像すべて:(C)Ali n' Productions - Les Films du Nouveau Monde - Artemis Productions