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Posted on 2021.08.29

スパイスの玄関・四川省 / BLUE ZONE OKINAWA

BLUE ZONE OKINAWA
健やかに、生きがいを持ち長寿を喜び讃える人々が暮らす世界5つのゾーン、“BLUE ZONE”。
このページでは、“BLUE ZONE”のスピリッツを彷彿とさせる
県内外、国内外のFOODに関わるステキな出会いを綴ります。

麻婆豆腐
スパイスの玄関・四川省

 
中国四川省といえば、パンダや辛い料理を思い浮かべる方が多いかと思います。しかし、四川省は三国志の舞台であり、老子の故郷としても重要な聖地。そして肥沃な土地に恵まれた奥深い食文化が育まれ、首都成都は名高い美食の街として知られています。

今回の料理は四川省の代表料理、麻婆豆腐。その歴史は慎ましく心温まる女性の物語から始まりました。1800年代後期の成都・万福橋で陳興盛飯舗を営む女将劉氏が、疲れた労働者のために安価に提供できる豆腐と豚肉で作った麻婆豆腐を考案し、人々に愛される一皿となりました。

身近で単純な調理に思える麻婆豆腐ですが、伝統的な四川料理には7つの味覚が存在します。日本の五基本味、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味とは異なり、7つの味覚は「麻:痺れる辛さ」、「辣:唐辛子の辛さ」、「酸:黒酢の酸味」、「甜:甘み」、「苦:漢方薬の苦味」、「香:香味野菜と香辛料の香味」、「鹹:塩辛さ」です。これらはスパイスを巧みに操り、組み合わせで強弱のある辛さや微妙なコク、香りが混然一体となり、豊かな風味を放ちます。

中でも麻辣(マーラー)と呼ばれる味付けは麻婆豆腐最大の特徴でもある、花椒の痺れる辛味「麻」と唐辛子の辛味「辣」の融合。麻婆豆腐を食べると、舌が痺れ、喉の奥まで辛さに燃え、次に醬のうま味が奏で、最後には豆腐の甘い味が口いっぱいに広がり、やみつきになります。このように麻辣を強調した印象の四川料理ですが、辛味が加わったのは近年のこと。1600年代、新大陸発見以降、唐辛子が到来し、辛味の料理が発展しました。それ以前、四川はサトウキビ栽培を中心とした農業産地で潤沢に砂糖を使え、甘い料理が多かったと文献にはあります。砂糖や氷砂糖を使った甘味料理に用いる甜香(テンシャン)の味付けは、その名残を感じさせます。

四川料理がこんなにも複雑で奥深い理由の一つに、四川省が東アジアの最西端であるためスパイスの玄関口としての役割を担ったからです。それ故、四川料理には八角、孜然(クミン)、丁果(クローブ)、肉扣(ナツメグ)、桂皮(シナモン)、白扣(カルダモン)、茴香(フェンネル)といった多種のスパイスが常用されるようになりました。

一方、沖縄料理では伝統的にスパイスを活用する習慣はありませんが、ラフテーやテビチに丁果(クローブ)、肉扣(ナツメグ)、桂皮(シナモン)、黒酢や唐辛子などを、またチャンプルーには青花椒や花椒油を加えると、アジアの香りと夏を乗り切るための刺激を口いっぱいに楽しめるかと思います。勇気を持ってスパイスを日常に取り入れ、新しい味を発見して下さい。料理とは、人と物の交流で変化していく文化遺産だと私は考えています。今後、より多くの料理文化を取り入れた沖縄料理が花咲くであろうと、楽しみにしています。

[ レシピ4人分 ]
島豆腐 半丁、豚ひき肉 200g、トマト 1個、ナーベーラー 1本、
ショウガ 1片、ニンニク 1片、醤油 大さじ1、
酒 大さじ2、中華スープの素 小さじ1、片栗粉 小さじ1、
ジャスミン米 3合(日本米でも良い)
島とうがらし 3〜5本、味噌 大さじ3、練り胡麻 小さじ1、豆鼓 15g  
適量:青花椒、花椒油、ナツメグ(パウダー)、シナモンスティック

1. 豆板醤の代用品を作る:島とうがらしのヘタを取り半分に切り、豆豉、味噌と一緒にすり鉢で叩いてすりつぶす。風味づけに練り胡麻を加える。
2. 洗った皮付きショウガ、ニンニクをみじん切り。
3. 皮を向いたナーベーラー、トマトをざっくり切る。
4. フライパンで豚のひき肉を強火で炒め、2.と酒を加え、火が通ったら3.を加え蓋をして1〜2分蒸す。
5. 1.をお好みで小さじ2〜3、スープの素を加える。水分が少なければ足す。
6. 角切りにした島豆腐、醤油を加えて3分ほど煮込む。煮立ったところで弱火にし、片栗粉を水で溶き、加える。
7. ミルで削った青花椒、ナツメグ、ピーラーなどで削ったシナモンスティックを加える。火を消し花椒油をふりかける。
8. ご飯の上に麻婆豆腐を盛り、仕上げに青花椒をトッピングして香り、痺れを出す。
*余った豆板醤の代用品は冷蔵庫に保存し、野菜や肉炒めなどに少量加えるとアジア風味の料理が楽しめる。
*シナモンはスティックでもパウダーでもお好みで。

四川料理にはかかせない痺れる辛味調味油。
花椒油 238mL ¥756 丹丹/中国

麻婆豆腐に欠かせない黒大豆を使った大豆発酵品。
四川豆豉 226g ¥248 丹丹/中国

白胡麻を石臼でゆっくりと挽いた、きめ細やかでクリーミーな白練りごま。
純正ねり胡麻 100g ¥432 岩井の胡麻油株式会社/神奈川

刺激的で甘味のある「スパイスの女王」。
オーガニックナツメグパウダー 10g ¥537VOX ORGANIC SPICE/インドネシア

非加熱・無添加のセイロンシナモン
セイロンシナモン 20g ¥342 SAKURAI ORGANIC/スリランカ

比内地鶏の旨味を凝縮。化学調味料無添加。
比内地鶏 丸鶏ガラスープの素 75g ¥594 U MAMY/秋田

琉球王朝御用達。先代の技を継承する王朝味噌。
王朝みそ 750g ¥864 玉那覇味噌醤油/沖縄
 
 
食材のお求めはロージャース FOOD MARKETまたはオンラインショップでもどうぞ。

 

ガストロノミスト(農食文化・環境社会学研究家)
伊江 玲美
1976年東京生まれ、ルーツは沖縄、幼少期をアメリカで過ごす。2005年にスタンフォード大学にて持続可能な発展途上地域開発と起業論を研究。帰国後、一次産業と食文化を統合したコンサルティング会社を起業。2012年にブータン王国のGNH Center(国民幸福度を考えるセンター)の日本大使に任命される。2015年、イタリア食科学大学にて修士号を取得し、Slow Food 国際本部アジア局日本ディレクターに就任。活動は日本の食文化、食の叡智の発信、農業・漁業継承の促進、また恩納村を中心にフードロス食材を活用した無料弁当を子供達へ提供。