MOVEMENT|ムーブメント

糸

点を打つ。
短い線をたくさん引く。
黒いキャンバスの上に痕跡があらわれる。
白いマーカーの先が腕の延長線上にあって
身体が一体になりしなやかに、しかし頻繁に上下左右に動き
おおらかに結ばれた曲線が輪郭をくっきりとさせる。
彼の頭の中に
彼のサイズを超えた恐竜が生きている。
今にも動き出しそうな点と線の恐竜が
さらなるインスピレーションを彼に与えたのだろうか。
遥か遠い昔、地球の記憶の底から恐竜たちの雄叫びが聞こえたのだろうか。
動きたいと願う恐竜の夢を叶えるように
点と線が立体になって、なんとも見事な、なんとも愉快な
なんとも愛らしい恐竜の骨格が目の前に在る。
出来上がっているものを見ることに慣れてしまった今の時代、
さあ自分で作ってみようぜ!と考えた時、
そこではじめて創る人の稀有な才能と忍耐と情熱を知る。
下田昌克コザ大恐竜博。
すでに1500名以上の人が彼の恐竜と出会った。
大人も子供も目が点になる。
そんな空間であることは間違いない。
情熱と遭遇できる
そんな場所であることは間違いない。
 
年の瀬から年の初めに大恐竜博と出会う幸せ。
旅する画家、造形作家下田さんが届けてくれるのは
会場にある作品を鑑賞するだけにとどまらない。
恐竜絵画と共に記された谷川俊太郎さんの言葉の余韻。
  
日毎に増す似顔絵は
その人の顔形だけではなく、その人が持つオーラまで線になる。
似顔絵が集まる壁を見ていると
そこに新しい街が出現するような錯覚が生まれ少し興奮する。
アクティブに働く下田画伯と一緒に絵を描いた子供たち、
ピュアな雄叫びを忘れずに成長して欲しいなあ。
子供たちを連れ添って参加してくれた
若いお父さん、お母さんたちのアクション。
ありがたいなあ。
一つ二つ面倒臭そうな仕事を嬉々とこなしたり
わからないことを契機によいしょと頭を動かしたり
苦手を超えるためのジョークを身につけたり
日常の非日常を感じとって楽しんだり。
そんなことが一番豊かで賢いことと感じます。
 
新しい年。
点と線でできた絵を
縁と絆で継いでいこう。
いつだって夢を纏って
絵になる人であろうじゃないか。
布と糸で創られた大恐竜を連れて歩くのは少し大きすぎるから
ちょうどよく吠えて尻尾をふった愛犬の写真を励みに
暖かなお正月を綴ります。
皆様にとって健やかで幸多き一年になりますよう
心よりお祈り申し上げます。
 
Yoshino Taira was born in the year of the dog.

 

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