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hot people in Roger's : 下田昌克 さん

hot people in Roger's : 下田昌克 さん

 

 

 コザに恐竜がやってくる。
 その恐竜とは大きな骨である。その骨は、実は厚くて硬いキャンバス地でできていて、人がかぶったりまとったりできるものなのだ。なんと、骨格の中に人の体が入る。不思議で、強そうで、かっこいい。なんだか生命が宿ったように温かくて、優しい。
 恐竜の骨たちを作るのは、下田昌克さんという、世界を旅する画家である。チベット、ネパール、アラスカ、アフリカ、スイスにスペイン、インドネシア。冒険のような旅をしながらたくさんの人々に出会い、描いて、思いを記しながら人生を重ねてきた人だ。
 そんな下田さんは2011年のある日、東京の上野国立科学博物館で開催された恐竜博の、骨格標本に圧倒され、果てしない魅力を感じたのだそうだ。あまりにもかっこよくて、ついには欲しくて仕方なくなった「骨」を作ってしまいたい衝動を、きっと抑えられなかったのだろうと思う。慣れない裁縫も厭わず、布の硬さで業務用ミシンの針が飛んでくるという恐怖にも立ち向かい、迸る恐竜熱のまま、次から次へと骨を作り続けたのだ。
 恐竜たちは次第に写真家や作家、絵描仲間やミュージシャン、いろんな人の心を捉え、創作意欲をも刺激した。詩人、谷川俊太郎さんもそのひとり。下田さんの恐竜作品が完成するごとに、谷川さんが詩を送るーそんな往復書簡のような2年間は、ついに『恐竜がいた』という本になった。本ができ上がったときに「実は、恐竜なんて全然興味がないんだ」と、谷川さんはそうおっしゃって皆を仰天させたというエピソードを教えてくれた。そしてこう続けたそうだ。「僕が興味あるのは下田くんの作った恐竜だ」
と。やさしい言葉で、古代から伝わる真理を語るような谷川さんの詩と共に、恐竜の骨たちは悠々と、時空を超えて旅をする。
 
 コザ大恐竜博、展示会のもう一つの大きなテーマは「コザの街と人の肖像」である。下田さんはこのため、沖縄市に1週間滞在し街と人の肖像を描いた。炎天下のゲート通りを歩き、アメリカ文化が残る独特の看板の書体やデザインに好奇心で目を輝かせて描いた景色が、スケッチブック9ページ分の作品となった。
大好きなコーヒーフロートをほぼ毎日欠かさず飲んで、A&Wの大きなハンバーガーを美味しそうに食べてくれた。まち一番のタコスも。プラザハウスでは籐の牛のお面を見つけて興奮し、通りの骨董品屋では、埃をかぶった虎のような置物に心奪われた。誰もが見過ごしてしまうような街の宝物を発掘するように、この街の楽しさをひっぱり出して、描いてくれた。夜は老舗のロックバーをはしごして、コザのおじさんたちと何回も乾杯。気さくで、優しくて、好奇心いっぱいにいろんなことを質問してくる絵描き人にみんなすっかり心を開いて、下田さんはあっという間にコザの人気者になった。おしゃべりに気を取られているうちに、彼のスケッチブックにはものすごいスピードで輪郭が生まれ、たくさんの色が重なり、優しい目に心を映し出した肖像画が完成していった。その作品も、展示会でお披露目される。
 さぁ、いよいよ「コザ大恐竜博」が12月9日よりスタートします。素敵なご縁に導かれ、たくさんの幸運に恵まれ実現するこの大きな展示会。下田恐竜の沖縄初上陸、だけではない。彼が描いたコザの風景に、私たちは近すぎて見えなかった我が街の個性を再発見することになるはず。これは「新・コザ期」創世となるのでは?下田さんは会期中在廊し、この街のスケッチを続ける予定も。鋭くも温かな視線が魅力的な下田さんご自身にもぜひ会いにきてほしい。
 
 
ジャケット ¥64,000
CIRCOLO 1901/イタリア
ジレ ¥27,000
MC LAUREN/イタリア
ヘンリーネックロングTシャツ ¥15,000
MAJESTIC FILATURES/フランス
パンツ ¥29,000
ALTEA/イタリア
シューズ ¥88,000
CORDWAINER/スペイン     取扱店舗:ARENA
 
 

 

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