MOVEMENT|ムーブメント

hot people in Roger's : セバスティアン・カプテイン さん

hot people in Roger's : セバスティアン・カプテイン さん

 
 
 世界中の国々で演奏経験を持つミュージシャンが沖縄を拠点に活動している。ジャズドラマー、セバスティアン・カプテインさんである。曲にとけ込み、次第にメロディーを刺激し、ストーリーを描くステージへと導いていく、県内のジャズミュージシャンたちからも憧れの存在である。
 オランダ出身。生まれて初めて手にした楽器はチェロだったという。
2年間、練習を続けたが、いつしかドラムへと傾倒していく。
「両手、両足を駆使して4つの音でリズムを生みだすことに惹かれていったんだと思う。ドラムを始めたとたんに、どんどんのめり込んでいったんだ」。
学校から帰宅すると直ぐに家にこもって何時間もひとりドラムを打ち続けていたという。その情熱は冷めることなく、音楽大学に進学し、演奏を学んでいる中で、プロフェッショナルのバンドにスカウトされる。ニューオリンズスタイルのバンドのメンバーとして、オランダ国内をはじめヨーロッパ各地を巡業した。
「オランダ自国の民族音楽や伝統音楽は、実はね、自慢できるほど魅力的とは思ったことがないんだよ。でも一方で、オランダほどたくさんの人種や国籍の文化が混在している地域はないんじゃないかな。だからいろんな外国の音楽や文化が混ざり合った魅力的な音楽が生まれやすい場所であることは確かだと思う。クラシック音楽の土壌もあるし、例えばネイティブアフリカの音楽にだって触れることも珍しいことではない。ジャズやロックなどの音楽イベントも多く開催されているから、常にいろんな音や言葉や文化の刺激を受けることができる環境。それは音楽家としてとても恵まれていたと思っている」。
 アコースティックギターと、セバスティアンさんのジャンベやドラムのみで、インプロビゼーション(即興)スタイルのバンドも結成した。ステージのたび、自由にコードやメロディーを生み出していき、彼らだけの特別な音をつくりだしていく演奏は、ドイツの国際ジャズフェスティバルで優秀賞を受賞するほど高く評価された。
「シンプルな構成と小さなステージから、無限大の音楽の可能性を感じたバンドだった。演奏する場所の雰囲気、客席から発せられる感情、時間、演奏仲間との信頼関係や間合い、そういう目にはみえないもの同士が化学反応を起こしながら繋がっていく、“interactive(相互的)”な要素を大切にしている。それは演奏をするために旅を続けたなかで培った私なりのコミュニケーションであり、演奏手法でもある」。
 米国大使館関係のジャズバンドのメンバーとしてスカウトされたことを機に、演奏家としての旅はさらに舞台を広げ、遠く中東やアジア各国に至るまで、約40カ国での演奏を経験した。沖縄をはじめて訪れたのは2003年。空港から演奏会場の往復のみで、海を見る事も首里城を見学することもできないほどのタイトなスケジュールの中、浦添市の広報誌掲載のために取材に訪れた女性と出会った事が、沖縄との運命的な縁をも結ぶことになった。
「彼女と話したのは数分だったけど、確かに僕に取ってのしかるべき“誰か”であることは直感的に感じた」
 遠距離恋愛で互いの理解を深め、結婚を機に沖縄へ移住し、現在7年目を迎える。
「音楽は、言葉や文化を超えて人々とコミュニケーションを築くことができるもの。音楽には距離を消してしまう力があると信じているから沖縄に住むことに関しても不安はなかったよ。むしろ場所にこだわらず、どんなに旅を続けても、心が帰る家族を持つことに幸せと落ち着きを感じた」と話す。
「祖国の音楽仲間を呼んで、日本で演奏ツアーを何度か開催したけれど、今後は、日本でバンドを組んでツアーをプロデュースすることが夢。沖縄でも、ハイレベルなジャズフェスティバルがもっと頻繁に開催される様な環境になることを期待しています。ここでたくさんの人々と、音楽のマジックを共有できるように」。世界の広さを知り、同時に音楽が人々の心の距離をぐっと近づけてくれる魔法を自ら身をもって経験してきた音楽家がこの沖縄を拠点としていること。現在、ここでたくさんのミュージシャンに刺激と経験を与える存在というだけではなく、沖縄の未来に、音楽の磁場を生む可能性を与えてくれているのだ。
ンに刺激と経験を与える存在というだけではなく、沖縄の未来に音楽の磁場をうむキーパーソンである

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